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1976年に出版された「間違いだらけのクルマ選び」。子供の頃から機械物が好きだった自分は車も大好きで小学生の時には国産の車はほぼ暗記していました。
中学になると、あのスーパーカー・ブームがやってきて「フェラーリだ、ポルシェだ」と学校でヤンヤヤンヤの大騒ぎ。
将来は、車に関わった仕事をしたくて高校は自動車科のある工業系の高校に進学。そんな時に、あの名作「間違いだらけのクルマ選び」が出版されました。
自動車好きなら、一度は手にした事があると思われるこの本を書いた「徳大寺有恒」。7日に永眠されたと訃報を聞き昔の事を思い出しています。
曲がる・止まる・走る
今でこそ車の基本性能を表現する「曲がる・止まる・走る」という言葉ですが、最初に使い始めたのが徳大寺さんでした。
「間違いだらけのクルマ選び」の中には、国産車の一見すると悪口のような言葉がいっぱい並んでいるのですが、テストドライバーとして経験してきた徳大寺さんのクルマにかける情熱が感じられます。
この本は、国産車をボロクソにこけ下ろした「歯に衣着せない」内容でこんな事を書いても大丈夫?と読者が心配するような内容でした。
その、あまりにも国産メーカーを皮肉った内容の為に徳大寺さんは本名と姿を隠して「間違いだらけのクルマ選び」を発行したというエピソードがあるぐらいズバズバ批判のオンパレードでした。
例えば、
- 日本の車を骨抜きにした「優良企業」 トヨタ
- 右と思えばまた左の、時代便乗型 ホンダ
- 一貫した商品企画が不在の混成車 日産
- トヨタの下請け工場に ダイハツ
目次からしてこんな感じです。
その内容が、当時の車好きやそれ以外の人にも「良くここまで書いた」とジワジワ人気が出て自動車関係の雑誌ではありえないぐらいのヒットになりました。
この本を読んで、自分も自動車関係の道へ大きく踏み出したのでした。それぐらい、自分にとってこの本や徳大寺さんの影響は大きかったです。
まぁー、でも今はなぜか紆余曲折のはてに美容師となっている自分なのですが底辺には車好きのスピリットがずーっとあるんですよね。
この本の大ヒットで徳大寺さんは出版業界では引っ張りだこの人気者になり、自動車評論家としての地位を築いていきました。
その後は「続・間違いだらけのクルマ選び」や自動車雑誌でのコラム、テレビでの自動車評論とどんどん仕事をこなして徳大寺さんの出ていない自動車雑誌を探すのが難しいぐらいたくさんのメディアに登場していました。
なかでも、自分の一番好きな自動車雑誌「NAVI」での「NAVI・トーク」が楽しみでした。
NAVIは月刊誌で、毎月自動車にまつわるいろんなテーマで他の評論家の人やドライバーなんかとトークを繰り広げるのですが、造詣が深く毎号楽しみにしていました。
上の写真の徳大寺さんは、今年の3月に発売された「NAVI」の表紙の物でこの時の徳大寺さんはまだまだお元気な姿で写真に収まっていたのですが、これがNAVIでの最後になったんですね。
「間違いだらけのクルマ選び」の時に徳大寺さんが注目していた日本車の手本となる車が、ドイツのVWゴルフという話は有名な話。
「曲がる・止まる・走る」が出来ている車の手本がVWゴルフで、こういう大衆車を日本のメーカーに作って欲しいと言っていた徳大寺さん。
その話を読んで、自分もずーと25年ほどVWゴルフを愛用して来ました。
徳大寺さんの、あの独特の語り口が聞けないなんて淋しいですね。
草思社のホームページで「間違いだらけのクルマ選び」が無料で読めますよ
「間違いだらけのクルマ選び」の出版社、草思社のウエブサイトで「間違いだらけのクルマ選び」と「続・間違いだらけのクルマ選び」が無料で読めます。
パソコンでの閲覧になるのですが、今読んでもぜんぜん狂いのない指摘はさすがです。
興味のある方はぜひ読んでみて下さい。※1976年の初版版です。
■草思社「間違いだらけのクルマ選び」 (ページの下の方にスクロールしてください)
●最新刊 2014年版、「間違いだらけのクルマ選び」
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